卑屈ウジ虫ギョウ虫日記

外面が良く、朗らかで明るく楽しい子と周囲から評価される28歳アラサーウジ子。
しかしてその実態は、卑屈な考え方により脳内ウジ虫だらけの蟯虫野郎であった。
誰にも言えない卑屈な日々を綴る、そんな秘密のダイアリー。

選択しているようで選択させられているのだ

定時で帰りたい。


毎日それだけを考えながら働いています。
ワークライフバランス?そんなもの知ったこっちゃない。
こちとら働かずおまんま食えるにこしたことねーんだよ。ウジ子です。


海外出張のチャンスが巡ってきました。
ずっと、会社のお金で海外へ行く日を夢見ていたのでとっても嬉しいのですが、
その日に限って予定が入っていたのです。


私が無理を言って開催していただいた、友人の紹介という名の合コンが。


かなり無理を言い、色々な人の都合を合わせていただき実現した合コンです。
・友人に強制参加だからと告げ、休日出勤までさせ仕事を終わらせてもらいました。
・ホームパーティーが良いと無茶を言い、知り合いのお店を貸切ってもらいました。
・赤ワインとチーズの組み合わせが良いと言い張り、輸入物を用意してもらいました。


そんな日に、海外出張とな。


悩みました。ウジ虫ごときが人間様に嫌な思いをさせるなんてことがあっても良いものかと。
プライベートを優先させても、仕事を優先させても、
人間様に嫌な思いをさせることにかわりはないのです。
あっちに行っても地獄、こっちに行っても地獄です。



同じような光景を見た記憶があります。
大学に入学して間もない頃です。


ウジ子の所属していたサークルは新歓のイベントが盛んでしたので、
4月は毎日のようにサークルメンバーと顔を合わせていました。
その内、男子メンバーの間で、1年生の美紀ちゃん人気が高騰し、
どこへ行くにも、美紀ちゃんを囲む輪が出来るようになりました。


美紀ちゃんは困惑していました。


1年生だけならまだしも、上級生男子まで美紀ちゃんの輪に入っていたからです。
「私が男でも美紀ちゃん好きになっちゃうわ」と強がりを言う上級生女子。
その目は笑っていませんでした。


美紀ちゃんは女子から見ても、性格の良い穏やかな子でした。
群がる男子をムゲにも出来ず、かと言ってこのままでは自滅する。
そう思いながらも何も出来ない己の無力さ、チキンさに悩んでいるようでした。


新歓最終日。恐れていたことが現実となりました。
最終日はキャンプファイヤーを囲んで踊ったり、飲んだり、騒いだり、という
何とも古風な楽しみ方をしていたわけですが、
ふと気がつくと、美紀ちゃんがいない。
辺りを見回すと、皆がワイワイやっている外れの方の木陰で、
体操座りしながら円形に座る10人弱の男子の輪が見えました。
UFOでも召喚しているのだろうか。しかしその中心に体操座りしていたのは、美紀ちゃんでした。


なんと、美紀ちゃんは10人全員から告白され、誰か1人に決めるまで帰さない、
と脅迫されていたのです。
美紀ちゃんはさぞかし困ったことでしょう。
炎に照らされ、陰影が踊る真顔の男たちに囲まれ、誰か1人を伴侶にせよと言うのです。
怖かったことでしょう。
伴侶を選んでも地獄、選ばないとどういう目に合わされるかもわからずこれまた地獄。


幸い、最上級生の女子が割り込んだことで、美紀ちゃんを脅迫する会は解散しました。
美紀ちゃんの貞操は守られたのです。(その後同級生男子と付き合い先日結婚しましたが)



まあそんなこんなで、
どちらを選んでも地獄なわけです。ウジ子と美紀ちゃんを同列に扱うのはあまりにもおこがましいですが、
とにかくどちらを選んでも地獄なわけです。



結局ウジ子は、仕事を選びました。


理由
友達の信用を失っても、仕事してりゃ食っていけるから。
そもそも信用なんて形のないものはよくわからないし
今でもお互い信用なんてそんなしていないだろうし
いつか疎遠になった時に仕事よりそいつを選んだことに後悔しそうだから。


以上です。



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